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土屋製作所のよもやま話〜進化させる~

みなさんこんにちは

有限会社土屋製作所です。

 

〜進化させる〜

 

 

精密機器基板組み立て業では、電子部品の小型化、高密度化、製品の多品種化が進んでいます。

一つの基板へ多数の部品を正確に取り付けながら、短い納期や少量生産にも対応しなければなりません。

そのため、マウンターや自動検査装置だけでなく、生産管理システム、画像認識、ロボット、デジタル作業指示などを活用する工場が増えています

一方で、設備を導入するだけで品質や生産性が自動的に高まるわけではありません。

現場の作業方法を整理し、正確なデータを集め、技術者が改善に活用することが重要です。

生産計画をデジタル化する

精密機器基板の組み立てでは、製品ごとに使用部品、設備条件、検査内容が異なります。

多品種少量生産では、どの製品を、どのラインで、いつ生産するかを細かく調整する必要があります

生産管理システムを使えば、受注数量、部品在庫、設備状況、納期などをまとめて確認できます。

必要な部品がそろっていない製品を先に計画しても、生産を始められません。

部品の入荷予定や検査状況を確認し、効率的な順番を組み立てます。

ただし、システム上の在庫数と実際の数量が異なれば、正しい計画は立てられません。

入出庫時の記録と棚卸しを徹底し、データの正確性を保つ必要があります。

バーコードによる部品照合

部品の取り違えを防ぐため、バーコードやQRコードを活用できます

作業指示書、基板、部品リールなどのコードを読み取り、正しい組み合わせかをシステムで確認します。

異なる部品を設備へセットしようとした場合に、警告を表示する仕組みもあります。

作業者の記憶や目視だけに頼らず、デジタル照合を行うことで、似た品番の取り違えを減らせます。

ただし、ラベルそのものが間違っていれば、システムも誤った情報を正しいと判断します。

入荷時の確認やラベル発行管理を適切に行うことが重要です。

コードを読み取った後に部品を入れ替えるなど、運用上の抜け道が生まれない作業手順も必要です。

デジタル作業指示書の活用

紙の作業指示書では、設計変更があった際に古い版が現場へ残る可能性があります。

タブレットやモニターへ最新の作業指示を表示すれば、改訂内容を反映しやすくなります

部品位置を拡大表示したり、写真や動画で作業方法を確認したりできます。

作業工程が進むごとに、次の手順や確認項目を表示する仕組みもあります。

ただし、画面を見なければ作業できないような複雑な表示では、現場の負担が増えます。

重要なポイントを分かりやすく示し、必要な情報へすぐアクセスできる設計が大切です。

作業者からの意見を取り入れ、実際に使いやすい指示書へ改善します。

協働ロボットによる組み立て支援

人の近くで作業できる協働ロボットを使い、部品挿入、ねじ締め、接着剤塗布、基板搬送などを支援する方法があります

同じ動作を繰り返す工程では、ロボットによって作業速度と品質を安定させやすくなります。

重い治具や製品を持つ作業をロボットへ任せれば、作業者の身体負担も減らせます。

一方、電子部品や配線は柔らかく、形状にばらつきがあるため、ロボットがつかみにくい場合があります。

部品供給方法、治具、センサー、カメラなどを工夫しなければなりません。

製品変更が多い現場では、段取り替えに時間がかからない仕組みも必要です。

ロボットに適した作業と、人の判断が必要な作業を分けることが重要です。

画像認識による部品確認

カメラと画像認識技術を使い、作業中の部品や基板を確認する方法があります

部品の種類、向き、位置などを撮影し、登録された正しい状態と比較します。

手作業による部品挿入後に、取り付け間違いがないかをその場で確認できます。

不良が見つかれば、次工程へ進む前に修正できます。

ただし、照明の反射、部品の色、影などによって判定が不安定になることがあります。

カメラ位置や照明条件を一定にし、正常品と不良品の画像データを十分に準備する必要があります。

画像認識だけで判断しにくい項目は、作業者や別の検査装置で確認します。

設備データによる予防保全

マウンター、リフロー炉、印刷機、検査装置などが故障すると、生産ラインが停止します。

設備の稼働時間、温度、圧力、エラー回数などを記録し、異常の兆候を早期に見つける予防保全が重要です

例えば、部品吸着ミスが少しずつ増えている場合は、ノズルの摩耗や供給装置のずれが考えられます。

完全に故障してから交換するのではなく、傾向を確認して計画的に点検します。

リフロー炉では、ヒーターやファンの状態によって温度分布が変化する可能性があります。

定期的に温度プロファイルを測定し、過去データと比較します

設備データを集めるだけでなく、どの変化を異常と判断するかを決めることが必要です。

リアルタイム品質管理

製造中の印刷状態、部品搭載結果、検査不良などをリアルタイムで集計すれば、異常を早期に発見できます

特定の部品だけ搭載ミスが増えている、特定の時間帯に印刷不良が多いなどの傾向を確認できます。

不良率が設定値を超えた場合に、ラインを停止したり、責任者へ通知したりする仕組みもあります。

大量の不良品をつくってから気づくのではなく、変化が小さい段階で対応できます。

ただし、数値だけを見て設備を止め続けると、生産性が低下します。

実際の基板状態を確認し、本当に異常なのか、測定や設定の問題なのかを判断します。

AIを活用した不良判定

AOIやX線検査の画像をAIで解析し、不良候補を抽出する技術があります

従来は検査員が多数の画像を確認していましたが、AIが疑わしい箇所を示すことで、確認作業を効率化できます。

過去の不良画像を学習させ、はんだ不足、ブリッジ、部品ずれなどを分類することも考えられます。

一方で、AIが学習していない不良や、特殊な部品形状を正しく判断できない可能性があります。

良品を不良と判定する誤判定もあります。

最終的な判断は、基板構造や検査基準を理解した技術者が行うことが重要です。

AIは検査員を不要にするものではなく、見落としや作業負担を減らすための道具です。

設計部門とのデータ連携

組み立てやすい基板をつくるためには、製造部門だけでなく、設計部門との連携が重要です

部品間隔が狭すぎる、検査端子が不足している、工具が入りにくい位置へコネクターがあるなど、設計段階で改善できる問題があります。

製造現場で発生した不良や作業時間を設計部門へ共有し、次の製品へ反映します。

部品の方向を統一する、治具で固定しやすい形状にする、検査しやすい回路を設けるなどの改善が考えられます。

組み立て後に手直しを繰り返すより、設計段階で生産しやすさを考えるほうが、品質とコストの両方に効果があります。

熟練技術のデジタル化

手はんだ付け、配線、外観判定などには、熟練者の経験が必要です‍

良いはんだの広がり方、異常なにおい、部品へ熱が伝わる感覚など、数値だけでは表しにくい判断があります。

作業動画、顕微鏡映像、良品・不良品の写真などを残し、教育へ活用します。

単に完成形を見せるだけでなく、こて先の当て方、はんだを供給するタイミング、手の支え方など、動作全体を記録します。

新人は訓練用基板で練習し、実際の製品を担当する前に技量を確認します。

作業者ごとの課題を明確にし、必要な訓練を行うことが大切です。

多能工化と作業者教育

多品種少量生産では、一人の作業者が複数の工程に対応できると、生産計画を調整しやすくなります

部品準備、実装、はんだ付け、検査などを段階的に学びます。

ただし、短期間ですべてを覚えさせるのではなく、工程ごとに必要な知識と技能を確認します。

誰がどの工程を担当できるかをスキルマップとして管理し、教育計画を立てます。

新しい製品や設備を導入した際も、必要な訓練を明確にできます。

作業速度だけでなく、品質確認、静電気対策、異常報告なども評価することが重要です。

部品ロスと環境負荷の削減

電子部品は小さくても、紛失や取り違えが積み重なると大きな損失になります♻️

部品供給量を管理し、使い残しを正しく保管します。

不良品の原因を改善し、基板や部品の廃棄を減らすことも環境負荷の低減につながります。

クリームはんだ、洗浄剤、包装材なども、必要量を管理します。

使用期限を過ぎて廃棄する材料が多い場合は、発注量や保管方法を見直します。

設備の待機電力を減らす、空調区域を適切に分けるなど、省エネルギーの取り組みも重要です

ただし、電力削減を優先して温湿度や静電気管理が不十分になれば、品質不良が増える可能性があります。

品質と環境対応を両立することが必要です。

サイバーセキュリティと製造データ

製造設備や検査装置がネットワークへ接続されると、生産データを効率よく共有できます。

一方で、不正アクセスやデータ改ざん、システム停止などのリスクも考えなければなりません

作業者ごとにアクセス権限を設定し、不要な変更を防ぎます。

設備プログラムや作業指示データのバックアップを取り、障害発生時に復旧できるようにします。

USBメモリーなどの外部機器を無制限に接続しないルールも必要です。

精密機器の製造情報には、顧客の設計や製品仕様が含まれる場合があります。

品質管理と同様に、情報を守る技術も重要になっています。

まとめ

これからの精密機器基板組み立て業では、バーコード管理、デジタル作業指示、協働ロボット、画像認識、AI検査などの活用が進んでいきます

データを使えば、部品の取り違えや工程の抜けを防ぎ、不良の変化を早期に発見できます。

しかし、システムや設備だけで、高品質な基板を生産できるわけではありません。

設備データを正しく読み取り、異常時に適切な判断を行う技術者が必要です。

人が得意とする細かな判断や柔軟な作業と、機械が得意とする高速で正確な繰り返し作業を組み合わせること。

そして、熟練者の技術をデジタルで残し、次の世代へ伝えること。

それが、精密機器基板組み立て業の品質、生産性、競争力を高める、これからの重要な技術となるでしょう。