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土屋製作所のよもやま話〜信頼性を決める~

みなさんこんにちは

有限会社土屋製作所です。

 

〜信頼性を決める〜

 

 

精密機器の基板組み立てでは、電子部品を正しい位置へ配置するだけでは製品として機能しません。

部品端子と基板の回路を電気的・機械的に接合し、信号や電力を安定して流せる状態にする必要があります。

その中心となる技術が、はんだ付けです。

はんだ付けは、溶かしたはんだを接合部分へ付ければよい単純な作業に見えるかもしれません。しかし、温度、時間、はんだ量、こて先の状態、部品の材質などが適切でなければ、外観上は付いていても、内部では十分に接合されていない場合があります

精密機器では、長時間の使用、振動、温度変化などに耐えられる接合品質が求められます。そのため、見た目の美しさだけでなく、電気的な安定性と耐久性を考えた技術が必要です。

はんだ付けの基本原理

はんだ付けでは、部品端子と基板の接続部分を加熱し、溶けたはんだをなじませます。

良い接合を得るためには、はんだが金属表面へ広がる「ぬれ」が重要です

金属表面に酸化物や油分、汚れがあると、はんだが広がりにくくなります。

そこで、フラックスと呼ばれる材料を使用し、加熱中に酸化物を除去しながら、はんだの流れを助けます。

ただし、フラックスを多く使いすぎると、残留物が増えたり、周囲へ飛散したりする場合があります。

使用するはんだやフラックスの特徴を理解し、接合部分に必要な量を使用します。

はんだごての温度管理

手作業では、温度調整機能付きのはんだごてが使用されます

温度が低すぎると、はんだが十分に溶けず、部品端子や基板へなじみません。

高すぎると、基板のランドが剥がれたり、部品が熱で損傷したり、フラックスが急激に蒸発したりする可能性があります。

設定温度だけでなく、実際のこて先温度が安定しているかを確認します。

大きな端子や金属部品は熱を奪いやすいため、小さな部品と同じ条件では温まりにくい場合があります。

温度を必要以上に上げるのではなく、接合部分に合った形状や熱容量のこて先を選びます。

太い端子には接触面積の広いこて先、小さな端子には細いこて先を使用するなど、作業内容に合わせます。

こて先の管理が品質を左右する

はんだごてのこて先が酸化していると、熱が伝わりにくくなり、はんだも付きにくくなります。

作業前や作業中に、専用のクリーナーでこて先を清掃します

清掃後には薄くはんだを付け、表面を保護します。

こて先を強く削ったり、硬い工具で傷つけたりすると、表面の保護層が損傷し、短期間で使用できなくなる場合があります。

はんだがこて先の一部にしか付かない、設定温度まで上がらないなどの異常があれば、交換や点検を行います。

古いこて先を無理に使い続けると、作業時間が長くなり、部品へ過剰な熱を与える原因になります。

適切な加熱時間

はんだ付けでは、部品端子とはんだだけを加熱するのではなく、接続する金属部分を同時に温めます。

十分に温まった接合部へはんだを供給すると、自然に広がり、滑らかな形になります✨

こて先へはんだを大量に溶かし、それを接合部へ載せるだけでは、表面だけが付着した状態になる可能性があります。

加熱時間が短すぎれば接合不足になり、長すぎれば部品や基板を傷めます。

作業者は、はんだの溶け方、広がり、表面状態を見ながら、こてを離すタイミングを判断します。

作業速度だけを優先せず、一か所ずつ確実に接合することが重要です。

はんだ量の調整

はんだが少なすぎると、接合面積が不足し、振動や力によって外れやすくなります。

反対に多すぎると、端子の形状や接合状態が見えにくくなり、隣の端子とつながる可能性があります⚠️

良好なはんだ接合では、部品端子と基板の接続部へ滑らかにはんだが広がり、端子の形状が確認できます。

丸い塊のようになっている場合は、接合部分が十分に加熱されていない可能性があります。

細かな端子が並ぶICやコネクターでは、はんだ量を特に慎重に管理します。

はんだブリッジが発生すると、本来つながってはいけない回路同士が短絡します。

拡大鏡や顕微鏡を使い、端子間に余分なはんだがないかを確認します

フローはんだ付けの技術

挿入部品を大量に実装する場合は、フローはんだ付け装置が使用されることがあります。

溶けたはんだの波へ基板下面を通し、複数の端子を一度に接合する方法です

基板をはんだ槽へ入れる前には、フラックスを塗布し、予熱します。

予熱が不足すると、基板と溶融はんだの温度差が大きくなり、接合不良や熱ストレスの原因になります。

はんだ温度、基板の搬送速度、基板角度、フラックス量などを管理します。

部品の配置によっては、はんだが端子へ届きにくい影の部分が生じます。

基板の流す方向や治具の形状を工夫し、はんだが均一に接触するようにします。

コネクターと配線の組み立て

精密機器では、基板同士やセンサー、モーター、電源などをつなぐ配線が必要です

コネクターを取り付ける際は、向き、高さ、固定状態を確認します。

コネクターが少し斜めになっているだけでも、外装へ取り付けた際に相手側プラグが差し込めない場合があります。

基板へのはんだ付けだけでなく、ねじやロック機構を使用して機械的に固定することもあります。

配線では、電線の太さ、色、長さ、端子、接続先を確認します。

被覆を剥く長さが長すぎると、導体が露出して短絡の原因になります。短すぎると、端子へ十分に固定できません。

電線の芯線を傷つけず、指定された長さだけ被覆を剥く技術が必要です。

圧着端子の品質

電線と端子を接続する方法として、圧着があります。

専用工具を使い、端子を変形させて電線へ固定します

正しい圧着では、芯線と端子が十分に密着し、引っ張っても簡単には抜けません。

使用する電線サイズと端子、圧着工具の組み合わせが合っていなければ、接続強度が不足する可能性があります。

圧着位置がずれている、芯線が端子からはみ出している、被覆部分を誤って圧着しているなどの不良がないかを確認します。

必要に応じて引張試験や断面確認を行い、内部まで正しく圧着されているかを評価します。

配線の取り回し技術

精密機器内部では、限られた空間に基板、配線、電源、機械部品などが配置されます。

配線を無理に曲げたり、鋭い金属部分へ接触させたりすると、長期間の振動で被覆が傷つく可能性があります。

配線には適切な曲げ半径を持たせ、結束バンドやクランプで固定します

固定が強すぎると電線を傷め、緩すぎると内部で動きます。

可動部分の近くでは、装置の動作範囲を確認し、配線が挟まれたり引っ張られたりしないようにします。

信号線と大きな電流が流れる電源線を近づけると、電気的なノイズの影響を受ける場合があります。

設計や指示書に従い、配線経路や分離距離を守ります。

はんだ付け後の洗浄

使用するフラックスや製品仕様によっては、はんだ付け後に基板を洗浄します

フラックス残留物が基板上へ残ると、外観不良や絶縁性能への影響につながる場合があります。

洗浄剤や専用設備を使用し、部品下部や端子間に残った汚れを除去します。

ただし、水分や洗浄液に弱い部品もあります。

基板上の部品が洗浄可能かを確認し、適切な方法を選びます。

洗浄後は十分に乾燥させ、水分が残っていないことを確認します。

コネクター内部や部品下部に水分が残ると、通電時の不具合につながる可能性があります。

手直しと部品交換の技術

検査で不良が見つかった場合は、はんだを除去し、部品の位置修正や交換を行います。

これをリワークや手直しと呼びます️

手直しでは、周囲の正常な部品を傷つけず、必要な部分だけを加熱しなければなりません。

何度も加熱すると、基板のランドが剥がれたり、内部配線が損傷したりする可能性があります。

小型ICの交換では、熱風装置や専用こてを使用し、端子全体を均一に加熱します。

取り外した後は、古いはんだや汚れを除去し、新しい部品を正確な位置へ取り付けます。

手直し回数を記録し、過度な熱履歴が加わっていないかを管理することも重要です。

作業者の技量確認

手はんだ付けは、作業者の姿勢や手の動きによって品質が変わりやすい作業です。

定期的に訓練用基板やサンプルを使い、作業技量を確認します‍

接合外観だけでなく、温度設定、こて先の当て方、作業時間、工具管理などを評価します。

良い作業方法を写真や動画で共有し、作業者によるばらつきを抑えます。

不良が発生した際には、個人の責任だけにせず、工具、部品、指示書、作業環境なども確認します。

まとめ

精密機器基板組み立て業では、はんだ付け、圧着、コネクター取り付け、配線固定など、さまざまな接合技術が使われています。

接合部分は小さくても、電気信号や電力を長期間安定して流すための重要な場所です。

適切な温度とはんだ量を守り、部品へ必要以上の熱や力を加えないことが重要です

さらに、配線の曲げや固定、洗浄、手直しまで丁寧に行うことで、振動や温度変化に強い製品へ仕上がります。

目に見えるはんだの形だけでなく、その内部の接合品質まで考えることが、精密機器の信頼性を支える技術なのです。