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日別アーカイブ: 2026年7月13日

土屋製作所のよもやま話〜性能を支える~

みなさんこんにちは

有限会社土屋製作所です。

 

〜性能を支える〜

 

精密機器基板組み立て業は、医療機器、測定機器、通信装置、産業用ロボット、分析装置、制御機器などに使用される電子基板を組み立てる仕事です。

精密機器には、わずかな信号の変化を読み取ったり、決められた動作を正確に繰り返したりする性能が求められます。その中心で電気信号を処理し、各部品を制御しているのが電子基板です。

電子基板の組み立ては、基板へ部品を載せて、はんだ付けをすれば完成する単純な作業ではありません。部品の種類、取り付け方向、位置、温度、静電気、ほこり、接合状態などを細かく管理し、設計どおりの性能を実現する必要があります🔧

一つの小さな部品の取り付け間違いが、製品全体の故障や誤作動につながることもあります。そのため、精密機器基板組み立て業では、正確さと再現性を両立する高度な技術が求められています。

基板組み立ては部品確認から始まる

組み立て作業を始める前には、使用する基板、電子部品、図面、部品表、作業指示書などを確認します📋

電子部品には、抵抗、コンデンサ、ダイオード、トランジスタ、IC、コネクター、リレー、センサーなど、多くの種類があります。

見た目がほとんど同じでも、性能や定格が異なる部品が数多く存在します。例えば、同じ大きさの抵抗であっても、抵抗値や許容差が違えば、回路の動作は変わります。

コンデンサも、容量、耐圧、極性などを確認しなければなりません。

そのため、部品番号やラベルだけに頼らず、品番、数量、ロット、包装状態などを照合します。

異なる製品の部品を同じ作業台へ混在させると、取り違えの原因になります。製品や工程ごとに部品を整理し、使用中と未使用、良品と不良品を明確に分けることが重要です。

極性と向きを確認する技術

電子部品の中には、取り付ける方向が決まっているものがあります。

ダイオード、電解コンデンサ、IC、発光ダイオードなどは、向きを間違えると正常に動作しないだけでなく、通電時に部品が破損する可能性があります⚠️

基板上の表示、部品本体のマーク、図面、作業指示書を確認し、正しい方向へ取り付けます。

小さな表面実装部品では、方向を示すマークが非常に見えにくいことがあります。拡大鏡や顕微鏡、カメラなどを使用し、確実に確認します🔍

慣れている部品であっても、「いつもと同じだろう」と思い込むことは危険です。

設計変更によって部品の向きや配置が変わる場合もあります。作業開始時には、必ず最新の図面や指示書を確認することが大切です。

表面実装技術とは

現在の電子基板では、表面実装技術が広く使用されています。

表面実装とは、基板表面の接続部分へ小型部品を直接取り付ける方法です。部品の小型化や高密度化に適しており、精密機器の軽量化や省スペース化につながります💡

表面実装工程では、最初に基板上へクリームはんだを印刷します。

クリームはんだは、細かなはんだ粉末とフラックスを混ぜた材料です。メタルマスクと呼ばれる薄い板を基板へ重ね、必要な位置だけへ一定量を印刷します。

印刷位置がずれると、部品の接続部へ正しくはんだが供給されません。

量が少なすぎれば接合不良になり、多すぎれば隣接端子同士がつながるブリッジが発生する可能性があります。

基板の位置、印刷圧力、スキージの速度、クリームはんだの状態などを管理し、均一に印刷する技術が必要です。

マウンターによる高速部品搭載

クリームはんだを印刷した基板へ、チップマウンターと呼ばれる装置で電子部品を配置します🤖

マウンターは、部品供給装置から電子部品を吸着し、指定された座標へ高速で搭載します。

非常に小さな部品でも、カメラで形状や向きを確認しながら配置できます。

しかし、自動機であっても、部品供給位置やデータが間違っていれば、誤った部品を大量に搭載する可能性があります。

作業前には、部品供給装置の位置と部品番号が一致しているかを確認します。

部品テープの向きや送り状態、吸着ノズルの汚れ、カメラ認識の状態なども点検します。

部品を吸着できなかったり、斜めに置いたりする場合は、ノズルの種類や吸着条件を調整します。

小型部品ほど軽く、わずかな振動や静電気の影響を受けることがあります。設備の状態と作業環境を安定させることが重要です。

リフロー炉で接合する技術

部品を搭載した基板は、リフロー炉へ通します🔥

リフロー炉では、基板全体を段階的に加熱し、クリームはんだを溶かして部品端子と基板を接合します。

温度を急激に上げると、部品や基板へ大きな熱ストレスがかかります。反対に温度が不足すると、はんだが十分に溶けず、接合不良になる可能性があります。

そのため、予熱、加熱、最高温度、冷却までの温度変化を設定します。この温度の流れを温度プロファイルと呼びます🌡️

基板の大きさ、部品の種類、銅の面積などによって、温まり方は異なります。

大きな金属部品の近くでは熱が奪われ、温度が上がりにくくなることがあります。一方、小さな部品は急速に温まりやすくなります。

基板上の複数箇所へ温度センサーを取り付け、実際の温度変化を測定し、適切な条件へ調整します。

挿入部品の組み立て技術

電子基板には、表面実装部品だけでなく、基板の穴へ端子を通して取り付ける挿入部品も使用されます。

大型コンデンサ、コネクター、トランス、リレーなど、強い機械的固定が求められる部品で用いられます🔩

端子を穴へ通す際は、部品が基板へ浮かず、指定された高さと向きになるようにします。

端子を無理に曲げると、部品内部へ力が加わったり、基板の穴を傷つけたりする可能性があります。

複数の端子を持つコネクターでは、一部の端子だけが穴へ入っていないことがあります。

上から見るだけでなく、基板裏面や側面から確認します。

部品が斜めに取り付けられると、完成後に外装や相手側コネクターと合わない場合があります。位置決め治具を活用し、高さや角度を一定にすることが重要です。

基板を傷つけない取り扱い

電子基板は、見た目以上に繊細です。

基板表面には細い配線や小さな部品があり、強い力や落下によって損傷する可能性があります。

基板を持つ際は、部品や端子へ直接触れず、できるだけ端部を持ちます👐

基板を重ねると、下側の部品へ上側の基板が接触することがあります。

専用トレーやラックを使用し、基板同士が触れない状態で保管・搬送します。

作業台へ置く際も、工具やねじの上に基板を置かないようにします。

外観上は異常がなくても、基板内部の配線やはんだ接合部に細かな亀裂が入る可能性があります。

基板を丁寧に取り扱うことは、組み立て技術の基本です。

作業指示書による標準化

精密機器の基板組み立てでは、作業者によって方法が大きく変わらないよう、作業手順を標準化します📝

部品の取り付け順序、使用する工具、温度条件、確認項目などを作業指示書へ記載します。

写真や拡大図を使い、部品の方向や正しい完成状態を分かりやすく示します。

文章だけでは判断しにくい部品もあるため、良品見本や限度見本を用意することがあります。

設計変更があった場合は、古い指示書が残らないように管理します。

現場で複数の版が混在すると、誤った内容で組み立てる原因になります。

作業開始前に図面番号や改訂番号を確認し、最新の情報であることを確かめます。

初品確認で大量不良を防ぐ

量産を始める際は、最初に組み立てた基板を確認します。

これを初品確認と呼びます✅

部品の種類、位置、方向、はんだ状態、外観などを検査し、問題がないことを確認してから連続生産へ移ります。

最初の一枚で間違いを発見できれば、大量の手直しや廃棄を防げます。

途中で部品ロットや設備条件を変更した場合も、再度確認することがあります。

自動設備を使用していても、最初の確認を省略しないことが重要です。

まとめ

精密機器基板組み立て業では、電子部品の確認、極性管理、クリームはんだ印刷、部品搭載、リフロー、挿入部品の組み立てなど、多くの技術が組み合わされています。

電子部品は小さくても、製品の機能を左右する重要な存在です。

一個の部品の向きや位置を間違えただけで、精密機器全体が正常に動かなくなる可能性があります⚙️

自動設備の正確さと、作業者の確認力を組み合わせ、設計どおりの基板を安定して生産すること。

それが、精密機器の性能と信頼性を支える基板組み立て技術なのです。